インフォメーション

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月に一度、さまざまな一次産業に関係する人たちとカウンター越しに語り合うLiV×LiVEs(リヴ×ライブ)。毎月変わる一夜店長。普段なかなか知り合う機会のない彼らが、どんなことを思い、どんな仕事をしているのか、生の声を酒の肴に交流を楽しむイベントです。

今回の一夜店長は宗像市の大島で新しく活動を起こしている、3人のパワフルな美人ママさんたち!

 

今夜の突き出し

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大島でしか買えない!?幻のピクルス

今回はおつまみに、なかなかお目にかかれない大島の幻のピクルスを出していただきました。農業をするために大島に移住した家族が作っている、「じゃがいものピクルス」です。洋風と和風の2種類があるのですがどちらもものすごくおいしい!!小さい玉のじゃがいもで、一度蒸したものをピクルス液につけてあるので中まで液が染み込んでおり、食感も新しく絶品です。

自家・自然栽培のじゃがいもで一瓶一瓶丁寧に作っているため一度にたくさん作ることができず、今のところ大島でしか手に入りません。販売自体も不定期で、大島の小夜島の近くに出現するという噂ですがなかなかお目にかかれないそう。

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ラベルデザインはこんな感じ

気になる方はInstagramで「そらまめ農園」と検索してみてください!一瓶600円です。

 

今日のオリジナルカクテル

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スウィートサマー

ピーチベースのリキュールと青いシロップに大島のフレッシュな甘夏を添えた鮮やかなカクテル。甘夏の香りが良く、大島の澄んだ海を連想させます。スイスイ飲めてしまうカクテルでした。

 

本日の一夜店長

この日カウンターに立ったしまカフェの3人は普段どんなことをしているのでしょう?簡単に自己紹介していただきました。

 

豊福美紗さん

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豊福さんは宗像市久原の出身。結婚を機に大島へ移住し、3児を育てています。漁師である夫が釣り上げた新鮮な魚をフライにし、くすの木園で製造したパンで挟んだ「漁師サンド」を、販売用に改造した軽トラックで移動販売しています。手作りのタルタルソースとサルサソースは絶品!市内の祭りなどのイベントに出店したりもしています。

フィッシャーマンキッチンのサイトはこちらから☆

 

草野結実さん

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草野さんは生まれも育ちも大島で、3児の母。大島にはもともと気軽に食事のできる店が少なく、せっかく島に来てくれた観光客がお腹を空かせている姿を目にしていました。そんな「お腹空いた難民」を不憫に思い、「島に来た人が一休みできる場所を」と2016年にmusubi cafeをオープン!甘夏を使ったジュースや地元の食材を使った手作りのメニューを提供しています。

不定休なので、訪れる際は一報入れると確実だそうですよ。渡船場から右手に10分ほど歩いたところにあり、ブランコが目印です。

musubi cafeのサイトはこちらから☆

 

成田由子さん

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成田さんは朝倉市出身。漁師の夫と結婚したのをきっかけに2015年に大島に移り住んできました。福岡市の企業のITエンジニアとして島でリモートワークをしていましたが、出産と子育てのため現在は育児休暇中。移住してしばらくは家にこもっていてそんなに知り合いもいなかったそうですが、豊福さんと知り合ったことをきっかけにどんどん人脈が広がっていったといいます。

実はLiV×LiVEが6/17(月)の開催になったのはこの日が満月だったことが大きく関係していました。満月とイベント開催日に何の関係があるの?

「満月は夫が漁に出られないから、子どもを見ていてもらえるんです」と。いうことで開催日が決定したという裏事情!いかにも島らしい理由ですよね。

成田さんのブログはこちら☆

 

“しまカフェ”について

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本日のお品書き

きさくでノリの良い豊福さんと草野さんがお客さんをいじり倒し、それを微笑ましく見守る成田さん。お酒のオーダーがどんどん進み店内はまるでスナックのよう。(笑)「あなたたちがいたら毎日来るよ!」という声も上がっていました。

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こころなしかいつもより男性参加者が多いような…

その合間を縫ってしまカフェのお話も聞くことができました。

 

どんな活動をしている?

「しまカフェっていうカフェがあるの?」とよく聞かれるそうですが、お店があるわけではなく活動するグループの名前です。グループとしての活動は2017年5月頃から始まりました。

春には甘夏の果汁を絞って業者に販売し、夏には島で行われる竹灯籠祭りの準備などを行っているそう。8月7日の七夕まつりでは補助金を活用して竹灯籠の事業を行い、演出もするそうです。

 

縁結びのご利益「祈り星」

大島は七夕伝説発祥の地とも言われていて、約800年前から現在まで毎年七夕神事が行われています。縁結びのご利益もあるのだそうですよ。

しまカフェでは「祈り星」についてもアシストしてます。

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祈り星の清め方を紹介するチラシ

「祈り星」は同じ色・同じ形状のものがこの世に2つとない、美しいガラスでできています。

宗像大社 中津宮にある天の川へ行って願いを込めながら祈り星を清め、それをお守りとして持っておく。なんともロマンチックなお参りですね。大島に行った際にはぜひ祈り星を手にしてみてください。

 

役割分担

アイデア出しは主に豊福さんと草野さん、そしてそのアイデアを言語化して書類に落とすのが成田さん、というように自然にそれぞれ適した役割分担になっているのですね。

 

いろんなお話をかいつまんで紹介

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談笑する3人

 

Q.世界遺産の登録についてどう思いますか?

「観光地になれば仕事が生まれます。島に来てもらってお金を落としていってもらえたらとは思いました。子どもを育てながらではあるけれど、負担に思いながらではなく、どうしたら自分たちのやりたいように働けるか自分たちには何ができるのかを考えていきたいです。」

 

Q.島って何かと不便じゃないですか?

「島の人たちは今ある状況が当たり前と捉えるので、特に困っているふうではないんですよね。困るという感覚じゃないというか。これは住まないとわからない感覚かもしれないです。(笑)」

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ときにはLiV×LiVEs常連夫婦から円満の秘訣をうかがったり…笑

 

Q.大島にあるもったいない資源とかありますか?

「旅館や民宿が余ってて、もったいないなと思います。でも管理する人たちも高齢化してきているし、若い担い手がいないんです。借り入れをして立て直しても返していけるのかという心配から、なかなか手がつけられない状態が続いていますね。」

 

Q.大島はどんな人にオススメ?

「結構魚が釣れるので、釣り好きの人には人気スポットですよ。一年中何かしら獲れますし、6月今のシーズンはイカも釣れます。」

 

さいごに

大島に限らず、宗像はやりたいことを実現しやすいまちだと思います。大島の人たちはフレンドリーで、行政の人も協力的な人が多いです。いろんな人とつながることでそれまで知らなかったことを知れたり、取り組んでいることに生かせることがたくさんありました。これからもこういう機会を大切にしていきたいです。」

彼女たちはこれからもその明るさと笑顔でたくさんの人たちを惹き込みながら、さまざまな活動を仕掛けていくのでしょう。これからの展開にも目が離せません。

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次回予告!

次回7月のLiV✕LiVEsは宗像と福津でミニトマトとあまおうを栽培する「とまとのまつお」松尾康司さん

企業に勤めていましたが、家業である農業への思いが溢れ農家に転身。自身でゼロからスタートさせます。「これからの農業は?」を問い続け、トマトを加工したケチャップやドレッシングなどの商品化を行ったり、直接バイヤーに売り込んだりと精力的に活動されています。

研修生の受け入れを行うなど若手の育成にも力を入れる、松尾さんが思い描く農業の未来の暮らし[live]や生活[life]に関して、お酒を呑みながら、生[LIVE]で語らいましょう。

 

*とまとのまつおFacebookページはこちら 

■7月のLiV✕LiVEsのイベントページはこちら

 取材・文・写真:執行沙恵

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月に一度、さまざまな一次産業に関係する人たちとカウンター越しに語り合うLiV×LiVEs(リヴ×ライブ)。毎月変わる一夜店長。普段なかなか知り合う機会のない彼らが、どんなことを思い、どんな仕事をしているのか、生の声を酒の肴に交流を楽しむイベントです。

 

5月の一夜店長は「宗像日本酒プロジェクト」に関わる3人

5月は酒米を作る米農家の2人と、その酒米で日本酒を造る酒蔵の3人が登場。

有機農業を通じて環境保全を進める「宗像日本酒プロジェクト」について、それぞれお話を聞きました。

 

まずは本日のおつまみ

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福島さんの奥さん作、酒粕ビスケット

香ばしい黒ごまの香りとサクッとした食感、そして後からただよってくる優しい酒粕の気配が絶妙な身体に優しいお菓子。

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塩麹の豚肉炒め。麹を使うとなんでこんなにお肉柔らかくなるんだろう。

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山田錦(酒米)で作った甘酒

もともと酒米として使われる山田錦を麹にして作った甘酒。直売所で売ってみると指名が入るほど大好評に!パウチ加工して販売されてたら絶対買う!ってくらい美味しかったです。

そしてメインのお酒は「山の壽」

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日本酒プロジェクト

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「“自然栽培での稲作は難しくない”このことを一般の人や周りの農家の人に知ってもらいたい。そして、自然栽培の稲作が広がることで田んぼを通る水がきれいになり、川がきれいになり、さらには海がきれいになる環境回復を目的とした活動です。」
発起人、農業福島園 代表福島のその想いから本プロジェクトは始まりました。

これは宗像日本酒プロジェクトのコンセプトの最初の文です。

※全文はこちらから読むことができます!

環境回復を目的としたお米農家さんの活動、というのはわかるのですが、そこに日本酒?どういうことなんでしょうか。少しずつ読み解いていきましょう。

 

農業福島園の福島光志さん

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祖父母が米農家だった福島さんは熊本の農学部に進学。農業全体を見ると農薬を使った栽培がほとんどの割合を占める中、福島さんは自然栽培を教える先生に出会います。

「その先生の周りは無農薬で農作物を育てるのが当たり前の世界だったので、僕自身は農薬を使わないことが怖くもなんともなかったです。でも普通の農家さんは農薬を使うのが当たり前にやってきたことなので、無農薬に転換することがすごく怖いみたいで。だからじいさんとはずいぶん喧嘩しましたね。(笑)」

大学を卒業後、最初の稲作は祖父の教えのもとだったので仕方なく農薬を使うものの、2年目から自然栽培にチャレンジできるようになります。また稲作だけでなくトマトやブルーベリーなど同時に複数の作物にチャレンジしていたこともあり、実際に稲作で生活が成り立つようになるまでには5、6年かかったそうです。

「無肥料は無肥料なりに育ちます。肥料を入れるから農薬が必要になるというのが自然栽培の鉄則のようなものなんです」と福島さん。どういうことなんでしょう?

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紙に描きながら説明する福島さん

<肥料をあげる場合>

稲の成長が促進されるので、株と株の間が密集する
→密度の高いところにウンカという害虫がつき、株の養分を吸ってしまう
→養分がなくなるので実が充実せず、枯れてしまう。これが一種の害虫被害。
それを阻止するために農薬を散布する
→結果的に、米はたくさん穫れるが肥料と農薬がセットで必要になる

<自然栽培の場合>

発育を促進するための肥料を使わないので株と株の間に適度に隙間が生まれ、害虫が好む環境が生まれにくい
→害虫被害が少ないので農薬を使う必要がない
→結果的に収穫できる米の量は肥料を使った場合の6割ほどと少ないが、肥料も農薬も使わないのでその分のコストと手間が省ける

さて、あなたならどちらの方法で栽培しますか?

消費者側からすると「無農薬の方がいい」というのが一般的だと思いますが、農薬ありきでお米を育ててきた農家さんからするとそれは大きなリスクを背負う可能性があるためなかなか方向転換の舵がきれません。農業に従事し始めたときから無農薬が当たり前だった福島さんはスタートから違う道を進んでいたのですね。

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福島さんの商品

農業福島園では直接販売できる流通経路も独自に開拓しています。そのお米に惚れ込んで年間契約する顧客も多く、また同時にお米に付随した様々な商品開発も行っています。

そして約3年前。そんな自然栽培のお米に惚れ込んだある一人の女性が、ひっそりと日本酒プロジェクトの発端を生み出しました。

 

「このお米をお酒にしてくれる酒蔵はありませんか?」

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山の壽を飲みながらトークを楽しむ参加者

その女性は普段から面白いことや魅力的な活動があれば県内外問わずでかけていく方で、福島さんが一般募集している田植えのイベントなどにも参加していました。そしてお酒も大好き!福島園のお米に惚れ込み、知り合いのいる福岡市の酒販店、とどろき酒店に相談をします。

そこでとどろき酒店が紹介してくれた酒蔵が久留米で200年の歴史を紡ぐ「山の壽酒造株式会社」でした。

 

山の壽酒造株式会社

山の壽酒造は久留米市の北野町にある200年の歴史をもつ酒蔵です。その歴史や柔軟な発想を活かした取り組みをパネルとともに斉田さんに説明していただきました。

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斉田さんの話し

山の壽酒造は創業して今年で201年目。江戸後期から始まり、本家の建物は日本の家百景に載るほどの趣を残しているそう!蔵の方は平成3年の台風で全壊してしまったためその後2年の休蔵を余儀なくされるも、今では現代的な設備が整った新しい蔵に生まれ変わっています。

会社のスローガンは「Good time with 山の壽」。「我々は日本酒を売ってますが、単純にお酒を売っているつもりはないです。私達のお酒を飲むことで生まれるいい時間を提供しています」と話す斉田さん。

蔵では年齢も経験年数も関係なく、みんなで知恵を出し合いながら作業を行っているためか、新しいお酒も生まれやすいそうです。

余談ですが先日福岡で行われたG20のレセプションにはなんと、山の壽のお酒が振る舞われています!雄町(おまち)という酒米で、昨年福岡で最高賞の福岡県知事賞をとった純米酒。金賞をとるような酒蔵がプロジェクトに関わっているなんて、なんと心強いのでしょう!

一見すると酒蔵に閉じこもっているようには見えない、どこか垢抜けた雰囲気の斉田さん。実は酒造に関わってからまだ4年ほどなのだそう。それまでは何をしていたんでしょう?

「もともとはカメラマンをしてました。写真を撮りながらいろんなところを旅してたんですが、30代になってからは違うことがしたくなって、北アルプスの山小屋で4シーズンくらい番頭をしたりもしてました」。

かなり自由人なんですね。そして山小屋が閉まって季節労働先を探しているときにたまたま酒蔵の求人を見つけます。「一緒に山小屋にいた仲間に、福井で酒造りをしている人がいたので、酒蔵もいいなと思って」。笑いながら斉田さんは続けます。

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みんな身を乗り出して話に食いつきます

「働いてみたらその所作を見た職員に初日から『斉田さん、なんかもう10年いるみたい』と言われるくらい馴染んでしまって。その後、社内のいろいろに巻き込まれる形でそのまま酒蔵の人になってしまいました。」

プロジェクトが開始して今年で3年目。2017、2018年とも収穫分では1樽(一升瓶にして1000本)分の山の壽が作られましたが、2年とも完売しています。

「作る酒の量が増えることは有機農業の田んぼが増えることにつながります。いずれは10樽分作れるようになって、もっと有機農地が増えていけばいいですね。」

 

米農家 石松さん

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石松さんは福島さんと一緒に宗像日本酒プロジェクト推進会として活動する米農家さん。地域の農地のやりとりの判断や仲介をする宗像市農業委員会に所属しており、福島さんの先輩です。

本来70代くらいで役が回ってくる農業委員を40代の石松さんと30代の福島さんが務めているというのは前例になかったそう。

「農業委員になったことで耕作放棄地や一人あたりの農地面積が増えている現状を日々目にします。宗像日本酒プロジェクトでは収益の一部が地域の環境保全のために使われる仕組みをつくっていく予定です。ここに関わることで同時に環境保全も進めていけたらと思っています。まぁ、お酒が好きなので、それに乗っかりたかったというのが関わることになったきっかけなんですけど。(笑)」そう話しながらも、石松さんはこのプロジェクトの広げ方を模索しているといいます。

さいごに

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これからどのような活動を考えているのでしょうか?

「どうしていかないといけないか、ということを考えています。そもそもネーミングがお酒の名前なのでお酒ありきになっていますけど、将来的にはいろんな酒蔵でいろんな日本酒プロジェクトのお酒ができていいと思ってます。お酒だけでなく寿司専用の米も作れたらいいなと思っていて、酒とお寿司が一緒に提供できる!とかも面白そうだなと。楽しくやっていかないと続かないと思うので、どんなふうにおもしろくしていったら有機農地の面積が増えるかなと思っているところですね。こんなふうにしたらおもしろいんじゃないかな、というアイデアがあれば教えてください。」

楽しく継続していくことが大切!ということで、いろんな人のアイデアを借りながら、助けてもらいながら、農業の在り方が変わるタイミングを待ちつつ、今後もプロジェクトは続いていきます。

自然栽培で作られ、環境保全につながる活動の中で生まれた「山の壽」。酒販店で見かけた際はぜひ手にとってみてください!

 

取材・文・写真:執行沙恵

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