インフォメーション

月に一度、さまざまな一次産業に関係する人たちとカウンター越しに語り合うLiV×LiVEs(リヴ×ライブ)。毎月変わる一夜店長。普段なかなか知り合う機会のない彼らが、どんなことを思い、どんな仕事をしているのか、生の声を酒の肴に交流を楽しむイベントです。

過去の開催レポートはこちらをどうぞ↓↓
Part1:むなかた鐘崎の海女ちゃん
part2:川上農園の3代目、耕太さんとしのぶさん

 

三夜目の店長はFrom Tomatoの佐々木さん

3回目のLiV×LiVEsは3月14日、初めて平日木曜の夜に開催されました。今月の一夜店長はFrom Tomato佐々木悠二さんと、その妻陽子さん。悠二さんはサラリーマンとして勤めていた前職を1年前に退職。新規就農して、一風変わったスタイルで農業を始めています。
陽子さんは悠二さんのつくるトマトを素敵な料理に変身させる専属のシェフで、このときなんと妊娠8ヶ月!座って休みつつもカウンターに立ってドリンクやお通しを出してくれました。今日はお二人からどんなお話が聞けるのでしょうか?

 

本日のドリンクとお通し

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トマトの赤が鮮やかな“燃えよ!SASAKI”

本日のオリジナルドリンクはトマトジャムを使ったカクテル、その名も「燃えよ!SASAKI」!ジンジャー入のトマトジャムをウォッカと炭酸レモンで割って、最後にカットトマトをon。爽やかさの中に生姜がピリッとしまり、最後にふわっとトマトが香ります。車でアルコールを飲めない方にはノンアルコールバージョンの「ソフトに燃えよ!SASAKI」を。トマトジャム、グレープフルーツ、炭酸水で同じように佐々木さんのトマトを楽しめるドリンクとなりました。

 

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カプレーゼとピクルス

クラッカーにトマトジャムとカマンベールチーズ、クリームチーズを載せたカプレーゼトマトのピクルスをご準備いただきました。トマトは中まで液が染み込むように中玉を使用、2日間じっくり漬け込んであります。にんにくがきいているうえ、トマト自体も味が濃厚でとても甘かった!この時点で十分美味しかったのですが商品化はこれから。参加者のみなさんの生の声を聞いて改良を加えていきたいとのこと。トマト自体はすでに古賀市のコスモス広場で販売されていますが、ピクルスの販売も待ち遠しいです!

 

今日のお題

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オーナー谷口と今日のお題

今日のキーワードは「トマト」「竹林」「バイオマス」。佐々木さんの取り組みを言葉だけで説明するのは難しいので、今回はラミネート加工した資料を準備。店内の壁に貼ってそれを見ながらお話を聞くことができました。

 

木造のビニールハウス

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古賀市の畑に建つ木造のビニールハウス

佐々木さんのハウスは古賀にあります。普通のハウスとは違い木造で、その数は14棟。どうして木造のビニールハウスなんでしょう?

 

 「ビニールハウスって正規の方法で立てようとすると10001000くらいかかるんですけど、その価格の根拠って不透明なんです。それがどうにも納得できなくて…。もともと建設業をしていてどういう設計をすれば物が建つかという知識はあったので、“とにかく安く農業を始める”というコンセプトで一から自分で作っていくことにしました。結果的には1/3~1/4の費用で建てることができましたよ」。その話にみんなが食いつきます。

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笑いも交えながら話に華が咲きます

「これは一人で建てたんですか?」
「もちろん友達とかに手伝ってもらってますけど、基本的には一人で組み立てられるようにしました。重量も軽くしてますし、高さも2mちょっとですね」。建てる過程では失敗して倒壊したこともあったそう。「昨日まであったハウスが、翌朝畑に行ったらなくなってたこともあります」と笑いながら話します。数々の失敗を繰り返しては改良を加え、今では台風にも耐えられるハウスになっているそうです。

 

 身近なバイオマス資源である竹林

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多くの山で見られる竹林

ところで「バイオマス」って何でしょう?
【バイオマス】とは「動植物などの生物から作り出される有機性のエネルギー資源で、一般に化石燃料を除くものを総称したもの」です。再生資源として注目されているもののまだそこまで実用化されていないのが現状ですが、佐々木さんは身近なバイオマス資源である竹林を農業に生かせないかと考えています。
「今は荒れた竹林を整備してたけのこ畑にしようとしてます。たけのこを生産しながらエネルギーも作れたらなと。農業を起点としてみんなにとって良いものを作っていけないか、それが目標ですね。」

 

佐々木さんてどんな人?

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参加者からの質問に答える悠二さん

木造のビニールハウスを自分で作ったり竹林でのバイオマスを農業に活かせないかと考えたり…佐々木さんて一体何者なんでしょう?なぜそんなことを考えるようになったのか、そのきっかけを聞いてみました。

もともと北九州の製鉄所に勤務していた佐々木さんは社内で陽子さんと出会い、結婚。その頃からいずれはバイオマスエネルギーに取り組みたいという想いが明確にあったそうです。
「でもバイオマスエネルギーを生み出す設備が作れてもエネルギーの使い道がないなと思っていて。何かないかなと思ったときに、農業用ハウスってそんなにむちゃくちゃエネルギーが必要なものでもないし、そこにバイオマスと親和性があるんじゃないかって思ったんです」そして佐々木さんは早速、当時住んでいたマンションのベランダにカインズで買ってきた簡易型のビニールハウスを設置し、トマトを作ってみます。それがまた意外に甘くて美味しかったのだそう!「これはいけるんじゃないか?」と思い現実的に構想を練り始めたタイミングで、子どもが生まれます。

 

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写真映えする美男美女夫婦!

佐々木さんが今の生き方を選んだのは子どもの存在が大きいそう。「会社に勤めながら、子どもが行きていく世の中ってどうなっていくべきだろうと考えました。そしてそれって他人任せにするものなのか?この子の生きていく世の中のために自分ができることはないか?って」。そして会社を辞めて独立する道を選びます。「自分も親父が頑張ってる姿を見てたんで、自分もそうやって挑戦する姿を娘に見せたいなと、そういう思いです」

会社を辞めて独立の道を目指すようになった夫を見て、陽子さんは反対しなかったんでしょうか?
陽子さん「反対はしなかったですね。彼の人生なので(笑)。私も手伝ったりはしますけど、彼も私にはしたいことをしていいって言ってくれていますし」。そんな奥さんの言葉を受けて悠二さんは、「いやぁ、ありがたいですよね。そんなことを言ってくれるから、逆に頑張らなきゃと思います。最近読んだ本に書いてあったんですけど、人生の道の分岐点に立ってさぁどっちに行こうかって迷ったとき、どっちかが正解でどっちかは地獄に真っ逆さま…ていうわけじゃないんですよね。どっちにも結局道が続いてくだけだから、どんどん進んでいくしかないんだって。どの道を選択しても、結局その先の努力次第だよねと。だから全部が実験です。」

 

これからしていきたいこと

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カウンター越しに交流

佐々木さんの農業はスタイルは、いろいろな人が少しずつ関わり成り立っています。「最近思うのは、いろんな人にこの活動自体を知ってもらわないと賛同者も得られないなということ。昨年はハウスを建てるのでいっぱいいっぱいでしたけど、今年は発信にも力を入れていきたいです。そんなときに谷口さんに声をかけていただいて、今日みたいな機会をいただいたのは本当にありがたかったです。失敗して凹むことも多いけど、今日みたいなイベントがあるとまたモチベーションが上がりますね

失敗を恐れずにいろいろ試していく佐々木さんの姿勢や言葉から、これからの道が楽しみで仕方ない様子が伝わってきて周りにも伝播していくようでした。

 

店長からアンケート

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トマトについてのアンケートを準備してきていました

参加者からの生の声を聞くべく、アンケートを準備されてきていました!質問項目に対して当てはまる項目にシールを貼っていくタイプ。なかなか普段の生活では知り合えないし声を拾いにくい一般消費者の声をこの機会に存分に収集してもらえることは、主催側としてもやってよかったと思うのでした。

これからの佐々木さんの取組に乞うご期待ですね!

 

次回予告!

次回4月の一夜店長は鐘崎漁港の若手漁師、共進丸 船長 宗岡健一さんと、共進丸 機関長 権田幸祐さんです!

時代や環境の変化により漁獲量が減少し、魚離れが進む日本。「魚が捕れない・売れない・安い」現状が続き、今や風前の灯火である漁業。

そんな状況下でも自ら漁師になる道を選び、漁業を盛り上げるべく日々奮闘中しているお二人は、漁師の未来をどう描いていくのでしょうか。

どうぞお楽しみに!

 

4月のLiV×LiVEsの詳細はこちらから

 

取材・文・写真:執行沙恵

 

 

 

 

月に一度、さまざまな一次産業に関係する人たちとカウンター越しに語り合うLiV×LiVEs(リヴ×ライブ)。毎月変わる一夜店長。普段なかなか知り合う機会のない彼らが、どんなことを思い、どんな仕事をしているのか、生の声を酒の肴に交流を楽しむイベントです。

1回目の様子はこちらをどうぞ。

 

二夜目の店長は川上姉弟

今日の一夜店長は川上農園の3代目の耕太さんと、そのお姉さんのしのぶさん。しのぶさんがデザインしたおそろいのTシャツを着て登場です!ネーブルや不知火(しらぬい)、レモンなど、大量にケースで持ち込み準備を始めます。

 

本日限定のドリンク

まずは本日限定ドリンクの仕込みから。ネーブルをザクザク切り分け、リキュールやジュースの割合を調整しながら…できました!川上農園のネーブルをふんだんに使ったカクテル、「川上サンセット」です!見てください、この鮮やかなオレンジ!

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川上
サンセット

スッキリ爽やか!果汁も果肉もたっぷりの贅沢なカクテル。車で来た人でも楽しんでもらえるように、ノンアルコールバージョンの「川上サンライズ」も準備しました。また普段LiV KiTCHENで出しているサングリアは川上農園のオレンジをはじめとしてたくさんの果実が溶け込んだもの。こちらもあわせてオススメです。

 

乾杯!

19時になると「こんばんは〜」と、ぞくぞくと人が集まってきました。今夜は水巻町や、遠いところは大牟田市から足を運んでこられた参加者も!さらに西日本新聞の取材も入り、通常10人ほどでいっぱいになる店内は人でいっぱいいっぱいになりました。みんなで乾杯すると、それぞれの場所で話しに花が咲きます。

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人で
いっぱいになる店内

 

おつまみは不知火(しらぬい)のドライフルーツ

今夜のおつまみは“完熟・不知火のドライフルーツ”。

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飴のようなドライフルーツ
!ネーブルとレモンを添えて

川上農園自慢の完熟不知火を専用の乾燥機で20時間かけてじっくり乾燥させたもので、見た目はカリッとしていますが食べるとまるで飴のよう!砂糖を一切使っていないのにこの甘さは驚きです!素材そのものの甘さがギュッと詰まってやみつきになりますよ。
こちらは道の駅むなかた赤馬館、光岡の交差点付近にあるかのこの里などの店頭で販売される予定ですが、今夜は特別に先行販売。「買いたいです!」「私も欲しい〜」とすぐに品薄になっていました。お店で購入したいときはこのしのぶさん作のポップが目印。

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川上農園の商品はしのぶさ
んお手製のポップが目印

ところで「不知火(しらぬい)」という名前、聞いたことありました?というか読めました?そんなの知らないなーという方は、あれです。見た目はデコポンです。じゃあデコポンでいいじゃん!と思っちゃいますが、実はデコポンは熊本産のものにしか使えない名前なんだそうです!
はじめて知りました…。みかんの世界もかなり奥深そうだ。

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ドライフルーツ
の商品 1袋/15g ¥300

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アイ・ラブ・みかん!!

ロゴやポップのデザインは全てしのぶさんが手がけています。ロゴにはモグラ盛り上がった土虫にかじられた葉っぱなど、川上農園を象徴とする要素が散りばめられたデザインが施されています。さてそろそろ、川上農園がどんな農家なのか?、見ていきましょう。

 

川上農園って?

地元の人ですら秘境と呼ぶ、南郷地区の大穂(おおぶ)。その他、山田田島に川上農園はあります。みかんがメインですが、他にもお米ブルーベリーも作っています。
一番のこだわりはなんといっても50年近くかけて作られた「土」!除草剤を使わず、手間ひまかけて手作業で草を刈り取り、それを肥料として活用しているそうです。なのでミミズもモグラも住める土はふっかふか。みかんにも艶を出すためのワックスや防腐剤は使っておらず、「自然の力で作っているので他と味が違います!」と耕太さんも自信満々。

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本日のお題は「みかんについて」

9月下旬から11月にかけて収穫される温州みかんは地元の学校給食で食べられているのだそう!自然の力で手間ひまかけて作られた川上農園のみかんはとっても甘いと評判です。こんなおいしいみかんが給食で食べられるなんて幸せですね!

 

3代目への代替わりは?

川上姉弟.JPG
とっても仲良し
な姉弟

お客さんがカウンター越しに二人に質問を投げかけます。

Q.『もうお父さんは見守る側に立っていて、完全に耕太さんやしのぶさんに代替わりしている状態なんですか?』

「いやーまだまだですよ。耕太には失敗させたくないみたいで、やっぱり心配なんでしょうね。近くで見ていてもすぐ代わろうとするんですよ」としのぶさん。

お米も作っている川上農園。あるとき耕太さんが運転する耕運機が田んぼにはまり、車体が大きく傾きます!それを見ていたお父さんと姉弟のやり取りがこちら。

お父さん 「耕太ー!!(運転)変われーー!!
耕太さん 「変わらーん!!」(車体傾いたまま)
しのぶさん「変わらんでよかー!!もうお父さん、耕太も失敗せんと身につけていかんのやけん、なんでも手出したらいかんよ!」

こんなやりとりが広い田んぼを挟んで行われているんだそう。容易に想像できて、なんだかほっこりしますね。笑

「すぐあれこれと口を出したがる父だけど、もう70にもなってきてさすがに身体が動かなくなってきてる自覚もあるみたい。そろそろ完全に引き継がないといけないとは思ってるんでしょうけどね。いつまでもお父さんは“お父さん”でいたいんでしょうね」としのぶさんは顔をほころばせます。

 

Q.『農業をしていて大変なことは?』

「草刈りは地味に大変ですよ。そこがこだわりではあるんですけど(笑)」と耕太さん。「でも昔に比べて気候が変わってきているのはありますね。雨も降って欲しいときには降らなくて、降らなくていいときにはこれでもかってくらい降る。気候が変わってきたのは仕方ないから、自分たちはそれに対応しながらやっていくしかないですよね。極力笑いながら、元気に生活していけたらいいかと思ってます」と笑顔で答える耕太さん。

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カウンター越しにも話が盛り上がります

親父さんが先代から受け継ぎ自信をもって作り上げてきた土とみかん。
近年の環境の変化に耐えながらも、それを真摯に引き継ぐ耕太さん。
得意分野で広告を手がけ、Facebookなど情報発信するしのぶさん。
しのぶさんのポップデザインをTシャツなどに転換したり、ネット販売での営業を応援するしのぶさんの夫。

川上農園はまさに家族総出でそれぞれの持ち味を活かして経営を行っているのです。
「仲がいいからね、仕方ないね。でもケンカが絶えんよ!」と笑いながら話す様子は、聞いているみなさんも笑顔にさせるのでした。

 

 

さいごに

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終始楽しそうな二人

はじめて一夜店長をしてみてどうだったか、お二人に感想を聞いてみました。

 耕太さん
「ドライフルーツなど美味しいので商品として出してますが、内容量と価格が適正なのかって生産者側からはよくわからなくて。そういうのも直接聞けるのがいいですよね。」

しのぶさん
「普段は仕事関係の人以外の人達との関わりがないので、こういう機会ははじめてで新鮮でした!草刈りなど手のかかるやり方で農園をしているから、喜んでくれる人の顔が見えて、それが肌身で感じられるとこれでまた頑張れるって気持ちになるし、この達成感がやりがいに変わります。カクテルなどにして加工したものを直接渡したこともなかったから、楽しかったです!交流をもてたことが嬉しかったです。」

 

確かに、普段の生活の中で一次産業に従事する人はそれを買って食べる消費者と関わる機会がほとんどありません。逆もまた然りで、私たち消費者も店で買う農作物や魚や肉が、どんな人たちの、どんな想いから作られているものかを知る機会がほとんどありません。

 

【LiV×LiVEs】ではこれからも、そんな一次産業に関わる人たちと交流できる場をつくっていきます。この場を通してもっとたくさんの人に、想いを込めて市場に食材を提供してくれている人たちの想いを知ってもらえたら、何かが変わっていくかもしれません。それが何かはまだわかりませんが、そんなことを期待しながら次回の【LiV×LiVEs】の告知です!

 

次回予告!

次回は3月14日(木)19:00から!

脱サラして地元古賀市に帰ってきて、昨年から新規就農したトマト農家の佐々木悠二さん

彼はビニールハウスを木造で建てたり、自分でシステムを組んで肥料を自動で撒く装置を開発したり。これまでの農家さんとは少し違うアプローチで農業を始めた方です。
なぜ、そんな奇抜なことをやろうと思ったのか、当日みんなで聞いてみたいと思います。
どうぞお楽しみに!

 

 3月のLiV×LiVEs詳細はこちら

取材・文・写真:執行沙恵  

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