インフォメーション

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月に一度、さまざまな一次産業に関係する人たちとカウンター越しに語り合うLiV×LiVEs(リヴ×ライブ)。毎月変わる一夜店長。普段なかなか知り合う機会のない彼らが、どんなことを思い、どんな仕事をしているのか、生の声を酒の肴に交流を楽しむイベントです。

過去の開催レポートはこちらをどうぞ↓↓
Part1:むなかた鐘崎の海女ちゃん
part2:川上農園の3代目、耕太さんとしのぶさん
part3:古賀市From Tomato佐々木悠二さん
part4:鐘崎漁港の若手漁師 宗岡さんと権田さん
part5:宗像日本酒プロジェクト〈 農家/福島光志、石松健一郎、酒造/斉田匡
part6:しまカフェ〈草野結実/musubi cafe、豊福未紗/フィッシャーマンキッチン、成田由子/エンジニア〉
part7:とまとのまつお〈代表 松尾康司さん、森美穂さん〉
part8:すすき牧場〈代表 薄 一郎さん〉

 

9回目の店長は河辺健治さん

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塩爺こと河辺健治さん

河辺さんは今年で72歳。漁師の家系に生まれ、大島で育ち、子どもを育て、役所に20年勤め、合併する前の大島村の最後の村長でもあり、現在大島の海水で塩を作る塩爺です。

塩を作り始めて10年…ということになっていますが、何年も前から「塩を作り始めて10年」と言い続けているので、正確には何年目かよくわからないとのこと。

「塩爺は頑固でとっつきにくい爺さんらしい」という噂もあるそうですが、実際は美人と巨乳とビキニにめっぽう弱い、なんともおちゃめなおじいちゃんなのです。

 

 本日のおしながき

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本日のおしながき

 今回は大島から来てくれた塩爺に、塩爺自身塩についてのいろいろをお聞きします!

ドリンクは大島の塩を使った「ソルティー大島」。「大島の塩」をつまみに話に花が咲きます。

 

塩を作ったきっかけは?

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ソルティー大島と「大島の塩」

大島に生まれた河辺さんは高校卒業後、海上保安官として北海道の網走に勤務。巡視船の船長になることを夢見ていましたがその夢は早々に叶わないことがわかってしまいます。4年後に島に戻り、島で1、2を争う漁師だった先祖の跡を継ぎますが、生活と子どもを育てるために20年間公務員となる道を選びます。

その後は議員になり、大島村最後の村長にもなります。

「生活のために公務員をしましたが、公務員の仕事は嫌いでした。何か面白いことをしてやろうという気持ちは今も昔も変わらないですね」

一時食堂をしていた時期もある河辺さん。その食堂には薪ストーブがありました。

「火力が強かったので、鍋に海水を入れて置いていたら塩ができたんです。それが始まりです」

きっかけは単純なものでしたが、それから河辺さんの塩作りが始まります。

 

塩作りについて

とても原始的なつくり方

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塩爺を囲んでお話を聞くみなさん

塩爺の塩作りはとても原始的。日が昇っている間の12時間、薪を燃やしてひたすら海水をたぎらせるだけ。

調子がいいと5日でできるけど、雨だったり島の行事があったり、遊んでたりすると10日かかるね」

日の長い夏場はそれだけ長い時間たぎらせることができますが、冬場は少し時間が短くなります。また雨の日は作業ができないので、梅雨の時期などはできる量が減ってしまいます。

それだけの時間火を保つための薪燃料を確保するのが実は大変。薪を割って常に補充するものの、足りないときは海岸沿いで流木を探したり、森に行って倒木をもってきたりしているのだそう。

そうして作られる塩の生産量は平均すると1日1キロ100リットルの海水をたぎらせてできる塩は20キロ!その割合はたったの2%なんだとか…。

こだわると生産量はもっと減るといいます。

 

真っ白ではない色

塩爺の塩は少し色がついています。黄色っぽかったり赤っぽかったり、色味はできあがりによってさまざま。

色は火加減窯の様子で変わっているのだといいます。

燃料や火の具合で塩の結晶の具合が微妙に変わるというのもまたおもしろいところ!

海水をゆっくり熱して作ると粒子が大きくなって結晶がキラキラするそう。それを杵でついて細かくしたのが現在販売されている塩です。

ガンガンにたぎらせると粒子が細かくなりますが、味は落ちる気がするそう。

「いつも塩を買いに来てくれるおばちゃんがよく味をわかってくれていて、今回は色が白いねとか、前回のより今回の方が美味しいわとか教えてくれるんよ」

 

どうして原始的な方法で作るの?

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談笑中

「燃料の薪を探すのも一苦労なら、ガスでやったらいいんじゃないの?」という声が参加者から上がりました。それもそうだ。どうして薪なの?

「ガス代がかかるでしょう。ガスや電気を使うとコストの方が大きくなってしまって採算がとれないんですよ。塩の作り方としては他にもポンプで汲み上げて海水を蒸発させるという方法もあるけど、あれも結局汲み上げるだけの電気代がかかるし、台風が来て壊れでもするとパアだしね」

なるほど。

ときどき「なんでもいいから燃やすものがほしいんでしょう?」と勘違いをしてゴミをもってくる人がいるらしいのですが、燃えないものもあるのでなんでもかんでももってくるのはやめてね、とのことですよ。

 

塩の味の違いってなに?

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沖ノ島の水!

塩にもいろいろなものがありますが、塩爺が大島の海水から作る「大島の塩」はうまみがあってやわらかく、ただしょっぱい塩とは違って美味しいのです。この味の違いって何なんでしょう?

満月で大潮のときの海水は海藻などの養分も多く含みやすいため、そのタイミングの海水を使った塩というのもあるそうですが、そもそも大島はじめ沖ノ島の素材は神秘的なのだと塩爺はいいます。

「粋工房というガラス工房があるでしょう。不思議なんだけど、ガラスに大島の砂を入れると緑色になるし、沖ノ島の塩を入れると鮮やかな朱色になるんだよ。他のものを入れてもあんな色にはならないのにね」

粋工房で作られるガラスの緑色と朱色が鮮やかだなぁとは思っていましたが、大島や沖ノ島由来の色だったのですね!これにはとても納得。

大島の海水で作った「大島の塩」の他に、沖ノ島の海水で作った「沖ノ島の塩」というのもあるのだそう。これは大島にある小夜島のお土産屋さんにしかない超レア商品なので、手に入れたい方はぜひ大島に足を運んでみてください!

 

取引先とのこと

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時折真面目な話も…

塩を作り始めて間もなく、取引先がまだそんなになかったころは商品を置かせてもらうのにも苦労したそう。

手数料を売上の49%も取られるようなところに卸したりもしていましたが、最近は少しずつ強気になってこれているそうです。

「最初はどこにいっても断られてましたが、今じゃどこに置いても売れるようになってきたから手数料率の高いところは今後契約を切っていこうと思ってます」

大手お菓子メーカーからも契約の話が来るそうですが、塩爺が頑張って作れる大島の塩は年間400キロ。企業が要求してくる量にとても足りないのでたいてい断っているといいます。

中には大島の塩を材料として買って、それで作った商品に『大島の塩を使った○○です』と勝手にキャッチコピーをつけて売られている商品もあるんだそうです。塩爺には何の断りもなく勝手に「大島の塩」をキャッチコピーにして販売するなんて失礼な話ですね。「大島の塩」を謳いたいなら塩爺に一言声をかけてからにしましょう!

 

これからの豊富

70代はまだ子ども!

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女性に囲まれてハーレム状態

 そんな塩爺のこれからの豊富はいったい何でしょうか?

「今は塩爺だけど、次世代の塩爺が育ったときには自分は塩翁(えんおう)になろうかと。「塩の翁(おきな)」ですね。そして最終的には「塩の聖(ひじり)」塩聖(えんせい)になりたいと思ってます!」

70代はまだ子どもすぎるから、まず80は超えないと翁にはなれないかなーと笑いながら話す塩爺。

「僕は『塩とともに去りぬ』でいくんです」

 

ライバルがでてくるかも

海水は誰のものでもないし、水分を飛ばせば塩は誰でも作ることができます。そう考えると、同じように大島や沖ノ島の海水を使って塩を作ろうとするライバルが現れてもおかしくはありません。

でも今夜、この塩爺の人柄に触れて実際に大島の塩を味わうと、塩爺が作る塩にこそ価値を感じるし、他に大島の塩という商品ができたとしても塩爺の塩にはかなわないと思うのでした。

ちなみにこの大島の塩を使った塩爺の奥様仕込みのイカの塩辛は抜群に美味しいんだとか!(食べたい!!)

他にも魚の塩干しや味噌や梅干しなど、塩を大量に使う食材ではとてつもない威力を発揮するんだそう!食にこだわる方には特にいろいろ試してもらいたいですね。

塩爺の作る塩は少しずつ認知度が高まって手に入りにくくなっています。なので見つけたときはラッキー!ぜひ一度味わってみてください。

 

次回予告

10月の一夜店長は2017年から地域おこし協力隊として大島で活躍する近藤智子さんです。

栄養士、そしてフードコーディネーターとして国内外の飲食店立ち上げに関わられてきた経験を生かし、現在は大島の特産品を使った商品開発の他、イベントや特産品などのPR媒体を作っています。

幅広く活躍するパワフルな近藤さんの一夜店長、どうぞお楽しみに!

 10月のLiV×LiVEsのイベントページはこちら

 

取材・文・写真:執行 沙恵

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月に一度、さまざまな一次産業に関係する人たちとカウンター越しに語り合うLiV×LiVEs(リヴ×ライブ)。毎月変わる一夜店長。普段なかなか知り合う機会のない彼らが、どんなことを思い、どんな仕事をしているのか、生の声を酒の肴に交流を楽しむイベントです。

過去の開催レポートはこちらをどうぞ↓↓
Part1:むなかた鐘崎の海女ちゃん
part2:川上農園の3代目、耕太さんとしのぶさん
part3:古賀市From Tomato佐々木悠二さん
part4:鐘崎漁港の若手漁師 宗岡さんと権田さん
part5:宗像日本酒プロジェクト〈 農家/福島光志、石松健一郎、酒造/斉田匡
part6:しまカフェ〈草野結実/musubi cafe、豊福未紗/フィッシャーマンキッチン、成田由子/エンジニア〉
part7:とまとのまつお〈代表 松尾康司さん、森美穂さん〉

 

8回目の店長はすすき牧場代表の薄 一郎さん

すすき牧場は3000頭の牛を飼育する福岡県内最大規模の牧場で、宗像市河東にあります。

1947年に薄さんの父親が山を開拓して創業してから72年。牛肉の安全性が問題視された情勢も乗り越え、常に試行錯誤を続けてきたすすき牧場の歩みとこれからの展望についてお話を伺いました。

 

まずは本日のおつまみから

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すすき牧場のビーフジャーキーとむなかた牛のポテトチップス

ポテトチップスは道の駅むなかたとすすき牧場、山芳製菓が協働開発したむなかた牛を使った高級ポテトチップスです。1袋の売上に付き1円が世界遺産保全に寄付されるという仕組み付き!むなかた牛のパウダーが香ばしい香りを放ち、食べ始めると手が止まらない美味しさです。

ビーフジャーキーはソーセージなどを作ってくれている専門の業者に頼んで作ってもらっています。 

細かい部分は端折って製造方法を簡潔に聞くと、肉に味付けをして乾燥させ、凝縮したものがビーフジャーキーになるとのこと。できあがる頃には元の牛肉の大きさの3分の1ほどにまで小さくなり、一度にそんなにたくさんの量は作れないといいます。

Q.作ろうと思ったきっかけは? 

薄さん「牛肉は生物(なまもの)なので、消費者に届けるためには冷蔵庫や冷凍庫のある環境が必須で、販売する場所が限られてしまうのです。場所に制限されず、より多くの人にむなかた牛の美味しさを届けることができないか考えました。そして常温で置ける形に加工できないかと思いついたのです」 

ビーフジャーキーは癖がなくさっぱりしていて、噛めば噛むほど旨味がぎゅっとでてきます!これはビールやハイボールにぴったり! 

一袋800円とそれなりにお値段はしますが、大元の牛から手間暇愛情込められて育てられ、さらに手を加えられて凝縮したものが安いはずがありません。

大切な方や、日頃お仕事を頑張っているお父さんにプレゼントするのはどうでしょう?

これらはどちらとも道の駅むなかたで手にすることができますのでぜひ探してみてください。

 

知っているようで知らない牛肉の産地

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カウンター
手前が薄さん。奥は息子の蓮(れん)さん

すすき牧場では熊本など九州県内で生後2ヶ月の子牛を買いつけ、ミルクを飲ませるところから飼育を始めて約2年間育てるそうです。そうして出荷される牛肉の産地は宗像産となります。

牛肉の場合、一番飼育期間の長い土地が産地名として付けられるのだそう。例えば神戸で9ヶ月飼育され、その後宗像で8ヶ月飼育された牛肉は宗像で出荷されたとしても「神戸産」。オーストラリアで8ヶ月、その後宗像で6ヶ月、最後に神戸で5ヶ月飼育された牛肉は神戸で肉になったとしても「オーストラリア産」なんです。これには一同「へぇ~!」とうなずきます。

一般的には18ヶ月~30ヶ月くらいで食用肉になるそうですが、将来的には産み育てて出荷するまでを全て牧場内で行いたいと考えているそうです。 

 

ターニングポイントとなった2001年

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本日のお品書き

牛への飼料にこだわりをもつすすき牧場ですが、そのようになったタイミングは2001年に訪れました。

BSE、いわゆる狂牛病の問題です。

BSEはプリオンという感染性タンパクを摂取した牛がかかる伝染病。日本は輸入牛肉の原産国表示を義務化し食肉処理される牛全頭にBSE検査を行うなどの措置を取りました。

それと同時に、食品の表示問題や企業による牛肉偽装事件の発生などの問題が相次ぎ、消費者の牛肉離れが全国で広がることになります。

これを期に、牛肉の安全性が世界的に見直されるきっかけになったのです。

「国産」という言葉に盲目的に安心感を抱く傾向のある日本では「国産牛」の需要が高まりました。けれど飼料のほとんどを外国産に頼っているのが現状。日本で育った牛とはいえ、肉質としては外国産と何が違うのだろうかと薄さんは思いました。

本当に安心で安全な、子どもにも食べさせたい牛肉を作りたい。そのためにはどうすればいいのか。自分には何ができるのだろうか。

そして「本当の国産牛は、牛が食べるものもすべて国産であるべき」という考えに至ります。飼料の100%は難しいものの、できるだけ国内のものを取り入れるようにして、飼料米を自社で作るようになりました。

お米の他にも、工場で使用されず廃棄されるおから酒粕なども飼料に取り入れるようになります。

「自分たちがそれを扱うことで、工場さんからは廃棄処理にかかる費用が抑えられると喜んでいただけますし、私たちは飼料が手に入ります。廃棄物を資源化できるというwin-winな関係ができています」

 

畜産業の飼料事情

国産の牛はほとんど日本で生まれているものの、与えている飼料は85%が外国産。みんな輸入した餌で大きくなっているというのです。

一般的に15%にとどまる国産飼料の割合を、すすき牧場では50%以上という高水準に上げてきています。

ではどうして国産の餌が使われていないのでしょうか?薄さんは次のように話します。

「国産飼料の単価が高いというのもありますが、もともと日本で畜産業が可能になった背景には、アメリカからとうもろこしなどの飼料を無税で割安に輸入できるようになったことが関係しています。畜産業のベースには、輸入したとうもろこしを使うという前提があったのです。なので20年前、国産の飼料での取り組みを始めようとしたときには同業の誰もに『そんなことできるわけがない。やめたほうがいい』と口々に言われました。それくらい畜産業では輸入飼料が当たり前のことなのです」

消費者の私たちは「国産」という言葉を見て「安心・安全」を連想します。しかし、本当の国産とは何なのか、何をもって国産というのか、考えさせられます。

 

むなかた牛の話

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興味深いお話は続きます 

むなかた牛というブランドは地元の人たちに食べてもらいたくて、地元宗像のために作ったものでした。しかし残念なことに、最初はなかなか市内で認知されていなかったといいます。

行政との関係も当時はあまり良くなく、声がかかるとすれば内容は飼育による匂いの苦情ばかり。そんな関係性が変わったのは7、8年前のあることがきっかけでした。

「とある宗像市民が北海道の百貨店でむなかた牛を見つけ、その味に感激したのですが、現地宗像では全然その名が知られていなかったんです。その方が市長への手紙に『どうしてむなかた牛をもっとアピールしないんですか』と書いてくださって。それから少しずつ行政が見てくれるようなっていきました」

その出来事はまた、すすき牧場にとっても自分たちが地元で認知されていないということを知るきっかけにもなったそうです。そして飲食店や道の駅に積極的に営業に行くようになったといいます。 

市民の声は大きいのですね!

 

むなかた牛の肉は赤身なのが特徴!

脂肪分が多い霜降り牛と違い、むなかた牛はさっぱりしていて癖がなくたくさん食べても胃がもたれにくいという特徴があります。

「牛肉は苦手だったけどすすき牧場の肉は食べられる」というファンも多いそうです。

国内でも赤身肉のローストビーフ丼などがブームになったこともあり、徐々に赤身肉も好まれるようになっています。

そんな赤身肉のむなかた牛を美味しくいただくポイントは一つだけ、焼きすぎないことです。

焼き肉やBBQなどは火が強くて一気に熱が入ってしまい、肉の中の水分が出てしまうため赤身の強い肉はどうしても固くなってしまうのです。なのでそれをあまり知らずガンガン火を入れてしまった人からは「むなかた牛は固い」と言われてしまうのだそう。うーんもったいない。

肝心なのは焼くときの温度

表面は170~180度で焼くと香りが立つのでさっと焦げ目をつけます。一方中身の赤身肉は65度あれば火が通ります。表面をさっと焼いた後に、火を止めてフライパンに蓋をして予熱で中の火を通す。

原理がわかればそんなに難しいことはありません。この方法で柔らかいフワフワのむなかた牛を食べてみてください!

 

国際認証規格「SQF」

薄さんの飽くなき挑戦の背景には、徹底したこだわりがあります。

すすき牧場では2014年1月付けで国際認証規格「SQF」の認証を取得しました。

自社だけで製品の安全・安心を判断するのではなく、国際規格の外部認証品質管理システムを取り組むことで、より一層の安全性と品質を確保することを目指しています。

SQFは認証を取得すれば完結するものではなく、日々の記録を検証しシステムの見直し・強化・向上に継続的に取り組むことが求められます。

近年ではHACCPグローバルGAPなどがありますが、牛肉の世界ではこれに相当するものがSQFなのです。実際に取得したときは、国内の畜産業界において検査機関よりも先んじた最初の取得企業だったそうです。

民間企業が検査機関より先にこの認証を取得したというのは驚くべきことです!

 

息子の怜(れん)さん

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カメラを向けると照れながらもニッコリ笑ってくれました!

薄さんの一人息子、怜(れん)さんは今年高校3年生。オーストラリア暮らしが長かったためインターナショナルスクールに通っています。

高校卒業後は趣味のサーフィンを楽しみつつバリでインターネットを使った仕事をしたいと話していました。まだ18歳ですが、すすき牧場についてどう考えているのでしょうか?

「まずは社会人になって起業したいです。でも、いつになるかわかりませんが、いずれは父の仕事を継ぎたいと思っています」

日本を越えてグローバルな視野を身につけようとする怜さんの姿勢はとても18歳には見えず、堂々としていました。これからの活躍に期待が膨らみます!

 

これからしたいこと

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父の薄 一郎さんと息子の蓮さん

薄さんは8月に行われた第6回 宗像国際環境100人会議米農家の福島さん(リヴライブ5月の一夜店長)と若手漁師の権田さん(リヴライブ4月の一夜店長)と共にゲストスピーカーとして登壇しました。

「地域循環を考えたとき、自分たちはそこにどう関わり、何ができるのかを考える機会になりました」と薄さんは振り返ります。

飼育する中で牛からはメタンガスが排出されるのですが、飼育規模の大きい地域にとっては環境問題になることもあるそう。

ですが、ある種の海藻を飼料として牛に与えることメタンガスの排出量を抑えられるという研究結果が出ているというのです。

そこで以前から船に絡まる大量の海藻の処理について対策を考えていた権田さんと意気投合。

薄さんにとってはメタンガスの排出を抑える飼料が入手できるかもしれないし、権田さんにとってはゴミとなる海藻の処分費用が削減できるかもしれない。

まだその海藻がメタンガスの抑制に一役買うのかはわかりませんが、試していく価値はありそうです。 

また化学肥料を使わず有機で米を作っている福島農園の福島さんとも「農薬や化学肥料を使わない飼料米を作ってもらい、買い取れないか」、という話をしたそう。

それぞれ立つ現場は違えど、現場の悩みや想いを共有することでお互いに問題解決できる方法が見つかるかもしれない。そんな可能性を感じたそうです。

 

 

すすき牧場のむなかた牛は牧場でも購入できますが冷凍されてあるので、すぐに調理したい場合は道の駅むなかた「肉のススキ」(宗像店、新宮店)で購入するのがオススメです。

宗像が誇る「安心・安全」な牛肉を提供するすすき牧場さん、ありがとうございました!

 

次回予告

次回9月のLiV✕LiVEsは大島の塩爺こと河辺健治さんです。

河辺さんは宗像市と合併する前、大島がまだ大島村だった頃の最後の村長です。現在は玄界灘の海水から濃厚な塩を作り出し「大島の塩」として販売。さまざまなお菓子とコラボした商品も生まれています。また宗像市市民活動・NPOセンターが発行するNPO情報紙「ふらぐ」の中でコラム「島から見た宗像」にも執筆されています。

70歳を過ぎてもいきいきと活動する河辺さんの一夜店長、どうぞお楽しみに!

 

9月のLiV×LiVEsのイベントページはこちら

取材・文・写真:執行沙恵

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月に一度、さまざまな一次産業に関係する人たちとカウンター越しに語り合うLiV×LiVEs(リヴ×ライブ)。毎月変わる一夜店長。普段なかなか知り合う機会のない彼らが、どんなことを思い、どんな仕事をしているのか、生の声を酒の肴に交流を楽しむイベントです。

過去の開催レポートはこちらをどうぞ↓↓
Part1:むなかた鐘崎の海女ちゃん
part2:川上農園の3代目、耕太さんとしのぶさん
part3:古賀市From Tomato佐々木悠二さん
part4:鐘崎漁港の若手漁師 宗岡さんと権田さん
part5:宗像日本酒プロジェクト〈 農家/福島光志、石松健一郎、酒造/斉田匡
part6:しまカフェ〈草野結実/musubi cafe、豊福未紗/フィッシャーマンキッチン、成田由子/エンジニア〉

 

7回目の店長はとまとのまつお代表松尾康司さんと森美穂さん

7回目の一夜店長はとまとのまつおの代表松尾康司さんと、長年松尾さんをサポートする森美穂さんのお二人です。

福津市のトマト農家の長男として生まれた松尾さん。実家は弟が継ぎ、自身はサラリーマンとなりますが、さまざまな転機と農業への熱い想いから9年前に脱サラして新規就農することに。家業の農家を小さい頃から手伝っていたので全くの素人ではないものの、待ち受けていたのは新規就農者が直面する多くの壁と若手農家が育ちにくい日本の現状。今の日本農業業界の中でどう生き残っていけばいいのか、試行錯誤しながら取組んでいることや、農業に対する想いについて話していただきました。

 

本日のドリンクとつきだし

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松尾スペシャル

本日のオリジナルドリンクは松尾スペシャル!ノンアルコールバージョンは1年ほどたっぷりミニトマトを漬け込んだ【トマト酢】を炭酸で割り、果肉を潰しながらいただきます。アルコールバージョンはこれをウォッカ、またはジンで割ったもの。

ほんのりただようトマトの香りは爽やかで、潰しながらいただくトマトの果肉は熟成していてまるでジャムのようでした!

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まつお万能ソースとアイコのカプレーゼ

クリームチーズとトマトのアイコ【まつお万能ソース】をかけていただきます。何にかけても美味しい【まつお万能ソース】と、愛情込めて作られた甘くてフルーティーなアイコにクリームチーズのコラボレーション…美味しくないはずがありません。

気になる万能ソースについては6次産業に取り組んだきっかけとともに後に詳しく触れるのでこうご期待!

 

最強のビジネスパートナー、森 美穂さん

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松尾さんといつも一緒にいるので奥さんとよく間違えられるそうです

森美穂さんは松尾さんが農業を始めて2年目から勤めている社員さん。「いつも一緒にいるので奥さんと間違えられるんですけど、最強のビジネスパートナーです」と話す松尾さん。この日も松尾さんが話に専念できるようカウンター内の仕事を全て引き受け、ドリンクのオーダーやつきだしの準備をテキパキとこなしていました。

3人の子を育てる森さんはとても料理が上手で、昨年念願かなって福津市にナチュラルキッチンもり】をオープン!地産地消にこだわり、昼はホットサンドワッフル、スムージー、夜は居酒屋メニューコースなど、幅広く提供しています。季節によっては松尾さんのいちごを使ったフルーツサンドもあるのでぜひホームページをチェックしてみてください!

 

松尾さんのお話

松尾さんはもともと話をするのが好きで人前で話すのも抵抗がないタイプ。飛び交う質問に応えながらいろいろなお話をしてくれました。

 

■どうしてトマト栽培?

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カウンターの外で話をする松尾さん

松尾さんは宗像市と福津市にビニールハウスでトマトいちごを栽培しており、その栽培面積は約6000㎡(6反)。6000㎡というと、イメージ的には小中学校のプール16個分の広さ。結構広い気もするのですが、松尾さんは「6000㎡しか…」といいます。

「既存の親元就農の人たちはその10〜20倍の土地を持っています。新規就農の際、最初は土地を貸してもらうところから始まるんですが、農家の人に2ヶ月も3ヶ月も営業してやっと手に入れたのがこの広さです。遊休農地があると言われますが、土地の持ち主は自分の身体が動くうちは土地を譲ってくれません。ハウスを建てたいなんて言うとあげたも同然ですから、ますますハードルも上がってしまいますし」。

宗像市における新規就農者の中ではトップクラスの面積をもつといえど、新規就農者と親元就農者との間にはスタートから大きな差があるんですね。

「結局、やっと借りることのできた限られた土地では、初期投資の返済や生活があるので、必然的に単価の高いトマトやいちごなどを作る、ということなります」。

 

■時代による野菜の価格破壊と追い込まれる農家

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話の参考にと準備していただいた資料

高単価と言われるトマトやいちごに限らず、一世代前に比べて野菜の値段がかなり安くなっているのが農家にとって大きな問題であるといいます。

「トマトは昔4玉が400円くらいで売られてましたが、今じゃ直売所で160円くらいになっています。つい先日、4玉120円で売られているのを見たときは思わず写真を撮ってしまいました…。衝撃でしばらくドキドキしていましたね、大丈夫なんだろうかと…」。

消費者としてはどこか遠くの国から運ばれてきた野菜よりも地元の季節野菜を食べたいと思うのが本音。けれど、普段私たちの食卓に上がる身近な野菜を作っている地元生産者も今の世代が最後かもしれないといいます。

「今の季節市場に出るナスやキュウリなどの夏野菜も地元の農家さんが作らないと新鮮なものは食べられないんですが、今の市場では値がつかない、作っても利益にならないのが現状です。農家さんにも生活がありますから、利益の出る野菜にシフトするようになります。そうして単価のいい野菜が偏って市場に増えると値段の叩き合いが起こる。高かった単価が下がる。価格が落ちて利益が出なくなる。その野菜が作れなくなる…こういう悪循環が起こっているんです。四季成りの野菜は北海道産や長野産など、地元以外の産地の野菜しか食べられなくなってしまうでしょう」。

直売所で安く売られている野菜たち。消費者としては嬉しいのですが、その裏では「その価格まで下げないと競争に負けて売れ残ってしまう」という生産者の苦渋の想いがありました。一生懸命作ったものが値段に負けて売れない。売れ残りは生産者自らが引き取るルールなので、持ち帰るくらいなら値を叩いて売りつくしたいと思うのは自然なことです。一消費者として考えさせられます。

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まじめな話も笑いを交えて話す松尾さん

「もともと直売所は良い品質のものが評価されて高く売れる場所でした。ですが今はそこで価格破壊が起こっています。誰でも自分の作ったものを置ける点では、こだわって作ったミニトマト家の隣の小さな畑で獲れたミニトマトも、同じミニトマトとして並ぶわけです。一方が400円、もう一方が200円だったら消費者がどう思うかというのは容易に想像できますよね。

年金をもらいながら農業をしている年齢の方ならまだしも、若い新規就農者は初期投資を返済しながら就農しています。高く売りたいというよりは、こだわりを正当に評価されたい。それじゃあ標準価格や適性評価とは何なのかという話になってくるんですが、こういう点は漁業の世界と全く同じでしたね。権田さん(※)ともよく話をするんですが、安く売っても生活が成り立つ人たちと同じルートに立ってはいけないんです」。

権田さんLiVE×LiVEs Part4に登場した鐘崎の若手漁師さん

 

■若手の新規就農者が生き残る道は?

「正当に評価してもらうためには、付加価値ブランディングというところを作っていかなくちゃいけないと思っています。付加価値を消費者に感じてもらうための特徴ストーリー…農家一人ひとりが魅力をアピールする努力をしなくちゃいけない。あとは販売戦略です。まずはどうやって目を向けてもらうのか、どうやってリピートにつなげていくのか。

農商工の連携といいますか、自分にできないことはその道のプロにお願いする・聞くということが解決策なのかなと思っています。1の輝きしかないこの商材をどうすれば10できるのかというのを一緒に煮詰めてくれる人を求めて、このような場に立っているのもあります。ドラクエでいうパーティーを組むように、得意分野を持ち寄って一緒にやっていくしかないのかなと思います。」 

 

■気になる【まつお万能ソース】

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英語表記は“スペシャルソース”!

松尾さんはトマトの1の輝きを増す試みとして6次産業にも挑戦しています!その一つが、つきだしのカプレーゼにもかかっていた【まつお万能ソース】。フルーツトマトとしいたけ、玉ねぎやごまなどが絶妙なバランスの一品で、お肉や揚げ物、今の季節には冷麺や冷しゃぶにもよく合うそうです。商品化しているものには万能ソースの他にもケチャップやトマトドレッシング、トマトスープやトマトカレーがあります。

加工製造するのは日本に3人しかいない、難関資格フードマスターの称号をもつ菱江 隆氏。日本大使館・領事館料理長に就任していたこともある食のエキスパートです!食の安全・安心・無添加にこだわって生み出されました。 

「きっかけは数年前、炎天下で水分調整が難しくなったトマトが割れまくって、200万くらいの損失が出たんです。その割れたトマトで加工品ができないか、相談してことから始まりました」。

農業は自然が相手。水害で沈んでしまえば全滅なんてこともあります。いろいろな知恵を絞り、協力を募り、事業を支える柱を複数もつことも重要なのですね。

松尾さんの商品や菱江氏の詳細についてはぜひホームページ【とまとのまつお】をご覧ください!

製造分野にはフードマスターの菱江 隆氏、とまとのまつおの商品やロゴのデザインはLiVE×LiVEsの企画運営をしている谷口竜平です。できないところは仲間とパーティーを組んで…とはいえ、こんなにジャンルの違う仲間をパーティーに引き入れているとは、やはり松尾さん、只者ではありません…!

 

さいごに

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最強コンビでハイチーズ

「僕みたいに人前で話すのが好きな人はまだしも、中には職人気質の人もいて、技術は高いけどなかなか光の当たりにくい人ってたくさんいます。そういう人も光の当たるところに出して一緒に高めていけたらと思い、今後はトマトに特化した若手トマト団体を作ろうと考えています。

味は美味しいのに売れない…それは知名度が足りなくてお客さんが商品のイメージをできていないから。なのでそういうところを谷口さんにも協力いただきながら、まずは少人数で始めていこうと思っています。情報を積極的にFacebookで発信しているので、どんなふうにトマトを育てているか、見ていただけたら嬉しいです。」

Facebookはほぼ毎日、トマトの生育の様子や一緒に働くパートさん、社員さんの姿がアップされていますのでぜひフォローしてみてください!
>>とまとのまつおFacebook松尾康司さんFacebook

松尾さん、森さん、ありがとうございました!

 

次回予告

次回8月のLiV✕LiVEsはすすき牧場 代表 薄一郎氏です!

からだにやさしい、お米で育てた美味しいお肉ーむなかた牛。

国内の飼料原料の約9割が国外減量に依存しているなか、すすき牧場では資料用米、資料の一部自家栽培、地域の生産者の協力を得てエコフィード(食品副産物)を利用して環境に配慮した食の循環サイクルを構築しています。当日は薄さんの息子さんもお手伝いとして参加します。畜産を通じたこれからのお話、一緒に聞いてみませんか?

「株式会社 すすき牧場」のホームページはこちら 

8月のLiV×LiVEsのイベントページはこちら

取材・文・写真:執行沙恵

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月に一度、さまざまな一次産業に関係する人たちとカウンター越しに語り合うLiV×LiVEs(リヴ×ライブ)。毎月変わる一夜店長。普段なかなか知り合う機会のない彼らが、どんなことを思い、どんな仕事をしているのか、生の声を酒の肴に交流を楽しむイベントです。

今回の一夜店長は宗像市の大島で新しく活動を起こしている、3人のパワフルな美人ママさんたち!

 

今夜の突き出し

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大島でしか買えない!?幻のピクルス

今回はおつまみに、なかなかお目にかかれない大島の幻のピクルスを出していただきました。農業をするために大島に移住した家族が作っている、「じゃがいものピクルス」です。洋風と和風の2種類があるのですがどちらもものすごくおいしい!!小さい玉のじゃがいもで、一度蒸したものをピクルス液につけてあるので中まで液が染み込んでおり、食感も新しく絶品です。

自家・自然栽培のじゃがいもで一瓶一瓶丁寧に作っているため一度にたくさん作ることができず、今のところ大島でしか手に入りません。販売自体も不定期で、大島の小夜島の近くに出現するという噂ですがなかなかお目にかかれないそう。

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ラベルデザインはこんな感じ

気になる方はInstagramで「そらまめ農園」と検索してみてください!一瓶600円です。

 

今日のオリジナルカクテル

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スウィートサマー

ピーチベースのリキュールと青いシロップに大島のフレッシュな甘夏を添えた鮮やかなカクテル。甘夏の香りが良く、大島の澄んだ海を連想させます。スイスイ飲めてしまうカクテルでした。

 

本日の一夜店長

この日カウンターに立ったしまカフェの3人は普段どんなことをしているのでしょう?簡単に自己紹介していただきました。

 

豊福美紗さん

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豊福さんは宗像市久原の出身。結婚を機に大島へ移住し、3児を育てています。漁師である夫が釣り上げた新鮮な魚をフライにし、くすの木園で製造したパンで挟んだ「漁師サンド」を、販売用に改造した軽トラックで移動販売しています。手作りのタルタルソースとサルサソースは絶品!市内の祭りなどのイベントに出店したりもしています。

フィッシャーマンキッチンのサイトはこちらから☆

 

草野結実さん

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草野さんは生まれも育ちも大島で、3児の母。大島にはもともと気軽に食事のできる店が少なく、せっかく島に来てくれた観光客がお腹を空かせている姿を目にしていました。そんな「お腹空いた難民」を不憫に思い、「島に来た人が一休みできる場所を」と2016年にmusubi cafeをオープン!甘夏を使ったジュースや地元の食材を使った手作りのメニューを提供しています。

不定休なので、訪れる際は一報入れると確実だそうですよ。渡船場から右手に10分ほど歩いたところにあり、ブランコが目印です。

musubi cafeのサイトはこちらから☆

 

成田由子さん

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成田さんは朝倉市出身。漁師の夫と結婚したのをきっかけに2015年に大島に移り住んできました。福岡市の企業のITエンジニアとして島でリモートワークをしていましたが、出産と子育てのため現在は育児休暇中。移住してしばらくは家にこもっていてそんなに知り合いもいなかったそうですが、豊福さんと知り合ったことをきっかけにどんどん人脈が広がっていったといいます。

実はLiV×LiVEが6/17(月)の開催になったのはこの日が満月だったことが大きく関係していました。満月とイベント開催日に何の関係があるの?

「満月は夫が漁に出られないから、子どもを見ていてもらえるんです」と。いうことで開催日が決定したという裏事情!いかにも島らしい理由ですよね。

成田さんのブログはこちら☆

 

“しまカフェ”について

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本日のお品書き

きさくでノリの良い豊福さんと草野さんがお客さんをいじり倒し、それを微笑ましく見守る成田さん。お酒のオーダーがどんどん進み店内はまるでスナックのよう。(笑)「あなたたちがいたら毎日来るよ!」という声も上がっていました。

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こころなしかいつもより男性参加者が多いような…

その合間を縫ってしまカフェのお話も聞くことができました。

 

どんな活動をしている?

「しまカフェっていうカフェがあるの?」とよく聞かれるそうですが、お店があるわけではなく活動するグループの名前です。グループとしての活動は2017年5月頃から始まりました。

春には甘夏の果汁を絞って業者に販売し、夏には島で行われる竹灯籠祭りの準備などを行っているそう。8月7日の七夕まつりでは補助金を活用して竹灯籠の事業を行い、演出もするそうです。

 

縁結びのご利益「祈り星」

大島は七夕伝説発祥の地とも言われていて、約800年前から現在まで毎年七夕神事が行われています。縁結びのご利益もあるのだそうですよ。

しまカフェでは「祈り星」についてもアシストしてます。

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祈り星の清め方を紹介するチラシ

「祈り星」は同じ色・同じ形状のものがこの世に2つとない、美しいガラスでできています。

宗像大社 中津宮にある天の川へ行って願いを込めながら祈り星を清め、それをお守りとして持っておく。なんともロマンチックなお参りですね。大島に行った際にはぜひ祈り星を手にしてみてください。

 

役割分担

アイデア出しは主に豊福さんと草野さん、そしてそのアイデアを言語化して書類に落とすのが成田さん、というように自然にそれぞれ適した役割分担になっているのですね。

 

いろんなお話をかいつまんで紹介

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談笑する3人

 

Q.世界遺産の登録についてどう思いますか?

「観光地になれば仕事が生まれます。島に来てもらってお金を落としていってもらえたらとは思いました。子どもを育てながらではあるけれど、負担に思いながらではなく、どうしたら自分たちのやりたいように働けるか自分たちには何ができるのかを考えていきたいです。」

 

Q.島って何かと不便じゃないですか?

「島の人たちは今ある状況が当たり前と捉えるので、特に困っているふうではないんですよね。困るという感覚じゃないというか。これは住まないとわからない感覚かもしれないです。(笑)」

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ときにはLiV×LiVEs常連夫婦から円満の秘訣をうかがったり…笑

 

Q.大島にあるもったいない資源とかありますか?

「旅館や民宿が余ってて、もったいないなと思います。でも管理する人たちも高齢化してきているし、若い担い手がいないんです。借り入れをして立て直しても返していけるのかという心配から、なかなか手がつけられない状態が続いていますね。」

 

Q.大島はどんな人にオススメ?

「結構魚が釣れるので、釣り好きの人には人気スポットですよ。一年中何かしら獲れますし、6月今のシーズンはイカも釣れます。」

 

さいごに

大島に限らず、宗像はやりたいことを実現しやすいまちだと思います。大島の人たちはフレンドリーで、行政の人も協力的な人が多いです。いろんな人とつながることでそれまで知らなかったことを知れたり、取り組んでいることに生かせることがたくさんありました。これからもこういう機会を大切にしていきたいです。」

彼女たちはこれからもその明るさと笑顔でたくさんの人たちを惹き込みながら、さまざまな活動を仕掛けていくのでしょう。これからの展開にも目が離せません。

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次回予告!

次回7月のLiV✕LiVEsは宗像と福津でミニトマトとあまおうを栽培する「とまとのまつお」松尾康司さん

企業に勤めていましたが、家業である農業への思いが溢れ農家に転身。自身でゼロからスタートさせます。「これからの農業は?」を問い続け、トマトを加工したケチャップやドレッシングなどの商品化を行ったり、直接バイヤーに売り込んだりと精力的に活動されています。

研修生の受け入れを行うなど若手の育成にも力を入れる、松尾さんが思い描く農業の未来の暮らし[live]や生活[life]に関して、お酒を呑みながら、生[LIVE]で語らいましょう。

 

*とまとのまつおFacebookページはこちら 

■7月のLiV✕LiVEsのイベントページはこちら

 取材・文・写真:執行沙恵

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月に一度、さまざまな一次産業に関係する人たちとカウンター越しに語り合うLiV×LiVEs(リヴ×ライブ)。毎月変わる一夜店長。普段なかなか知り合う機会のない彼らが、どんなことを思い、どんな仕事をしているのか、生の声を酒の肴に交流を楽しむイベントです。

 

5月の一夜店長は「宗像日本酒プロジェクト」に関わる3人

5月は酒米を作る米農家の2人と、その酒米で日本酒を造る酒蔵の3人が登場。

有機農業を通じて環境保全を進める「宗像日本酒プロジェクト」について、それぞれお話を聞きました。

 

まずは本日のおつまみ

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福島さんの奥さん作、酒粕ビスケット

香ばしい黒ごまの香りとサクッとした食感、そして後からただよってくる優しい酒粕の気配が絶妙な身体に優しいお菓子。

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塩麹の豚肉炒め。麹を使うとなんでこんなにお肉柔らかくなるんだろう。

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山田錦(酒米)で作った甘酒

もともと酒米として使われる山田錦を麹にして作った甘酒。直売所で売ってみると指名が入るほど大好評に!パウチ加工して販売されてたら絶対買う!ってくらい美味しかったです。

そしてメインのお酒は「山の壽」

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日本酒プロジェクト

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「“自然栽培での稲作は難しくない”このことを一般の人や周りの農家の人に知ってもらいたい。そして、自然栽培の稲作が広がることで田んぼを通る水がきれいになり、川がきれいになり、さらには海がきれいになる環境回復を目的とした活動です。」
発起人、農業福島園 代表福島のその想いから本プロジェクトは始まりました。

これは宗像日本酒プロジェクトのコンセプトの最初の文です。

※全文はこちらから読むことができます!

環境回復を目的としたお米農家さんの活動、というのはわかるのですが、そこに日本酒?どういうことなんでしょうか。少しずつ読み解いていきましょう。

 

農業福島園の福島光志さん

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祖父母が米農家だった福島さんは熊本の農学部に進学。農業全体を見ると農薬を使った栽培がほとんどの割合を占める中、福島さんは自然栽培を教える先生に出会います。

「その先生の周りは無農薬で農作物を育てるのが当たり前の世界だったので、僕自身は農薬を使わないことが怖くもなんともなかったです。でも普通の農家さんは農薬を使うのが当たり前にやってきたことなので、無農薬に転換することがすごく怖いみたいで。だからじいさんとはずいぶん喧嘩しましたね。(笑)」

大学を卒業後、最初の稲作は祖父の教えのもとだったので仕方なく農薬を使うものの、2年目から自然栽培にチャレンジできるようになります。また稲作だけでなくトマトやブルーベリーなど同時に複数の作物にチャレンジしていたこともあり、実際に稲作で生活が成り立つようになるまでには5、6年かかったそうです。

「無肥料は無肥料なりに育ちます。肥料を入れるから農薬が必要になるというのが自然栽培の鉄則のようなものなんです」と福島さん。どういうことなんでしょう?

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紙に描きながら説明する福島さん

<肥料をあげる場合>

稲の成長が促進されるので、株と株の間が密集する
→密度の高いところにウンカという害虫がつき、株の養分を吸ってしまう
→養分がなくなるので実が充実せず、枯れてしまう。これが一種の害虫被害。
それを阻止するために農薬を散布する
→結果的に、米はたくさん穫れるが肥料と農薬がセットで必要になる

<自然栽培の場合>

発育を促進するための肥料を使わないので株と株の間に適度に隙間が生まれ、害虫が好む環境が生まれにくい
→害虫被害が少ないので農薬を使う必要がない
→結果的に収穫できる米の量は肥料を使った場合の6割ほどと少ないが、肥料も農薬も使わないのでその分のコストと手間が省ける

さて、あなたならどちらの方法で栽培しますか?

消費者側からすると「無農薬の方がいい」というのが一般的だと思いますが、農薬ありきでお米を育ててきた農家さんからするとそれは大きなリスクを背負う可能性があるためなかなか方向転換の舵がきれません。農業に従事し始めたときから無農薬が当たり前だった福島さんはスタートから違う道を進んでいたのですね。

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福島さんの商品

農業福島園では直接販売できる流通経路も独自に開拓しています。そのお米に惚れ込んで年間契約する顧客も多く、また同時にお米に付随した様々な商品開発も行っています。

そして約3年前。そんな自然栽培のお米に惚れ込んだある一人の女性が、ひっそりと日本酒プロジェクトの発端を生み出しました。

 

「このお米をお酒にしてくれる酒蔵はありませんか?」

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山の壽を飲みながらトークを楽しむ参加者

その女性は普段から面白いことや魅力的な活動があれば県内外問わずでかけていく方で、福島さんが一般募集している田植えのイベントなどにも参加していました。そしてお酒も大好き!福島園のお米に惚れ込み、知り合いのいる福岡市の酒販店、とどろき酒店に相談をします。

そこでとどろき酒店が紹介してくれた酒蔵が久留米で200年の歴史を紡ぐ「山の壽酒造株式会社」でした。

 

山の壽酒造株式会社

山の壽酒造は久留米市の北野町にある200年の歴史をもつ酒蔵です。その歴史や柔軟な発想を活かした取り組みをパネルとともに斉田さんに説明していただきました。

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斉田さんの話し

山の壽酒造は創業して今年で201年目。江戸後期から始まり、本家の建物は日本の家百景に載るほどの趣を残しているそう!蔵の方は平成3年の台風で全壊してしまったためその後2年の休蔵を余儀なくされるも、今では現代的な設備が整った新しい蔵に生まれ変わっています。

会社のスローガンは「Good time with 山の壽」。「我々は日本酒を売ってますが、単純にお酒を売っているつもりはないです。私達のお酒を飲むことで生まれるいい時間を提供しています」と話す斉田さん。

蔵では年齢も経験年数も関係なく、みんなで知恵を出し合いながら作業を行っているためか、新しいお酒も生まれやすいそうです。

余談ですが先日福岡で行われたG20のレセプションにはなんと、山の壽のお酒が振る舞われています!雄町(おまち)という酒米で、昨年福岡で最高賞の福岡県知事賞をとった純米酒。金賞をとるような酒蔵がプロジェクトに関わっているなんて、なんと心強いのでしょう!

一見すると酒蔵に閉じこもっているようには見えない、どこか垢抜けた雰囲気の斉田さん。実は酒造に関わってからまだ4年ほどなのだそう。それまでは何をしていたんでしょう?

「もともとはカメラマンをしてました。写真を撮りながらいろんなところを旅してたんですが、30代になってからは違うことがしたくなって、北アルプスの山小屋で4シーズンくらい番頭をしたりもしてました」。

かなり自由人なんですね。そして山小屋が閉まって季節労働先を探しているときにたまたま酒蔵の求人を見つけます。「一緒に山小屋にいた仲間に、福井で酒造りをしている人がいたので、酒蔵もいいなと思って」。笑いながら斉田さんは続けます。

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みんな身を乗り出して話に食いつきます

「働いてみたらその所作を見た職員に初日から『斉田さん、なんかもう10年いるみたい』と言われるくらい馴染んでしまって。その後、社内のいろいろに巻き込まれる形でそのまま酒蔵の人になってしまいました。」

プロジェクトが開始して今年で3年目。2017、2018年とも収穫分では1樽(一升瓶にして1000本)分の山の壽が作られましたが、2年とも完売しています。

「作る酒の量が増えることは有機農業の田んぼが増えることにつながります。いずれは10樽分作れるようになって、もっと有機農地が増えていけばいいですね。」

 

米農家 石松さん

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石松さんは福島さんと一緒に宗像日本酒プロジェクト推進会として活動する米農家さん。地域の農地のやりとりの判断や仲介をする宗像市農業委員会に所属しており、福島さんの先輩です。

本来70代くらいで役が回ってくる農業委員を40代の石松さんと30代の福島さんが務めているというのは前例になかったそう。

「農業委員になったことで耕作放棄地や一人あたりの農地面積が増えている現状を日々目にします。宗像日本酒プロジェクトでは収益の一部が地域の環境保全のために使われる仕組みをつくっていく予定です。ここに関わることで同時に環境保全も進めていけたらと思っています。まぁ、お酒が好きなので、それに乗っかりたかったというのが関わることになったきっかけなんですけど。(笑)」そう話しながらも、石松さんはこのプロジェクトの広げ方を模索しているといいます。

さいごに

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これからどのような活動を考えているのでしょうか?

「どうしていかないといけないか、ということを考えています。そもそもネーミングがお酒の名前なのでお酒ありきになっていますけど、将来的にはいろんな酒蔵でいろんな日本酒プロジェクトのお酒ができていいと思ってます。お酒だけでなく寿司専用の米も作れたらいいなと思っていて、酒とお寿司が一緒に提供できる!とかも面白そうだなと。楽しくやっていかないと続かないと思うので、どんなふうにおもしろくしていったら有機農地の面積が増えるかなと思っているところですね。こんなふうにしたらおもしろいんじゃないかな、というアイデアがあれば教えてください。」

楽しく継続していくことが大切!ということで、いろんな人のアイデアを借りながら、助けてもらいながら、農業の在り方が変わるタイミングを待ちつつ、今後もプロジェクトは続いていきます。

自然栽培で作られ、環境保全につながる活動の中で生まれた「山の壽」。酒販店で見かけた際はぜひ手にとってみてください!

 

取材・文・写真:執行沙恵

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